契約書を2通作成するが、 1通は英文で、他の1通は和文とする。 「作成する」 というのは、人間のすることです。 しかし、この文には、だれがそうするのかは述べる必要はまったくなく、 「契約書が2通作成されればそれですべてよし」 というわけです。 従って、人間の出る幕は、まったくないことを知らなければなりません。
人間を主語とする癖 日本語は、人間が主語として出て来ないにもかかわらず、常に人間を潜在的に主語と意識して、それに合う動詞を使う傾向なので、このような文となってしまいがちです。さらに、これに追い打ちをかけるように英会話は You など人間を主語とする幼稚な例文に走っていますから、 会話体と文書体の区別すら気づかない人が多いのも、うなづけます。閑話休題。さて、主語は、明らかに 「契約書」 です。 Agreement です。 すると、その結語の動詞は 「作成される」 としなければなりません。
受身形は他動詞から その 「られる」 から“受身形”ということに気づきます。 「作成する」 など、あり得ないことです。 日本文では平気で、このような矛盾が、しかも、矛盾と感じさせないまま、 まかり通っています。「作成する」 という動詞、 正確には他動詞がほしいのです。 受身形は、他動詞のみから、 しかも、その過去分詞のみ作られますから。 makeでもよいのですが、 それ以外に prepare と draw up などもありますが、 ここでは prepareを使うことにします。 その過去分詞は、 prepared ですから、次の図式ができます。
The agreement is prepared <2通>shall の使い道 上記の受身形の文に助動詞 shall を付け加えます。 この助動詞 shall は、特殊な助動詞で、 拘束力のある契約書や法律などに、 「なになにするものとする」 というような言い回しに用いられます。 契約書は、その意味での拘束力を伴います。助動詞は、動詞の前に置くものと決まっていますので shall is となるところですが、 しかし、助動詞を頭にいただいた動詞は、その「“原 型”に戻らなければならない」 という規則にしたがって is は、その原型である be となります。 そうか、だから am, are, is を称して“be動詞(ビー動詞)” というのか、 と、今さらながら感心し納得する人がいるかも知れません。 そこで、次ができます。
The agreement shall be prepared <2通(A)>前置詞でつなぐ 上記図式で (A)の 「2通」 は、 duplicate です。 ちなみに、 「3通」は triplicateといいます。 これらは、ともに名詞です。 一般に名詞を完成文につなぐには前置詞が必要です。 この場合の名詞 duplicate や triplicate は、前置詞の in でつながなければなりません。 次のように。
The agreement shall be prepared <in duplicate> <1通は英文で他の1通は和文とする。(B)> 上記で(B)は、いわば duplicate の内容というか、 内訳けであると気づきます。その「2通 duplicate」がまったく同一のものなら、内訳も何も必要ありませんが、 上記の場合は、その“使用言語”が異なります。 だから、内訳が必要なのです。
内訳の述べ方 これで分かるように、名詞が複数個扱われていたら、それに続いて、その内訳とか、あるいは、補足的な説明がくる可能性が十分あると見て、その内訳を表現できる実力を、今ここで養う必要があります。
その内訳をどのように表現するか、その便利な公式を、ここで学び取ります。わたしが苦心して知り得た、その独特の方法を、ここに披瀝しますので、確実にマスターし、 英語表現力の向上に大いに役立てて下さい。
受身形や、この内訳の方法について、さらに詳しく知りたい方、 豊富な応用例を通じて応用自在の実力をつけて差し上げます。 電話下さい。
先ず、内訳ではなく、一個の文と見ます。すると、次のようになります。 ●1通は、英文で作成されます。そして (A)
他の1通は、和文で作成されます。 (B)
(A)文と(B)文のそれぞれを英文にしますと、下記のようになります。
●One is prepared in English and (A)
the other is prepared in Japanese (B)この英文を内訳とするべく加工します。その加工の方法は、極めて簡単。その文の結語の動詞に ing をつけてやるだけでよいのです。次のように (下線に注意)。
One being prepared in English and the other being prepared in Japanese.上記を前文の後につなぎます。そのとき、前文のピリオッドは、コンマに変えます。 次のようになります。
〜 in duplicate, one being prepared in English and the other being prepared in Japanese. ing は動詞の原型につけるのですから、 is をその原型の be にして ing です。 従って、 being となることがうなずけます。
しかし、せっかくつけた、その being は、省略されてしまいます。 そこで、次ができます。
〜 in duplicate, one prepared in English and the other prepared in Japanese. さらに、省略は続きます。前文に prepared が、すでに使われていますので、そのだぶりを避けて、 これをも省略します。 これで最終的にできあがりです。
〜 in duplicate, one in English and the other in Japanese. The agreement shall be prepared in duplicate, one in English and the other in Japanese. ダブリと言えば 、「前置詞の in だってそうではないか」 という人もいます。しかし、その in に限らず、前置詞は、すべて名詞を文中につなぐ大事な仕事をしているのです。 たとえ、どんなにだぶろうと、 絶対に前置詞は省略はできません。
内訳の応用例練習 1. わたしには留学中の兄弟が二人います。 ひとりは米国で、他の一人はオーストラリアです。
「留学中の」などという形容詞などあるはずもなく、これは「abroad で学んでいる → study abroad 」 というようにさばきます。
I have two brothers. They are studying abroad, one in America and the other in Australia.
上記2個文構成を一つの文にまとめると次のようになります。 I have two brothers studying abroad, one in America and the other in Australia. この英文は現在分詞 studying を使いこなす実力がある人に限られます。
2. そこには2枚の歯車が別個に回転しています。一つは右回転で、他の一つは左回転です。 There are two separate gears turning there, one clockwise and the other counterclockwise. 「別個に」 は、できる人で、だれでも副詞 separately を思います。 これをそうではなく 「別々の(歯車)が」 とさばいて two separate gears とできれば、抜群で理想的です。 事に当たって、先ず、形容詞を考えます。そして、それで形容できない部分だけ副詞でかたづける、 というように考えて行くと、形容詞をうまく巧みに使いこなせるようになります。
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教授 中野幾雄
直通電話 : 090−8451−7119
朝日カルチャーセンター(東京)講師
著書 : 一般/職業/技術 20冊以上