圧縮とは、物体にすべての方向から力を加えて、その形状及び大きさを変えることである。 “定義”を示す文です。 「何何とは」 で始まるのが、この文の特徴です。その 「とは」 がつく名詞が常に主語ということになります。 これは、日本文も英文も同じです。名詞 「圧縮」 は compression です。 そして、定義を述べるときは、その結語動詞は、常に is です。 従って、 「(力を)加える」 という動詞などは、結語であるはずがない、とわかるだけでも余計な時間をかけずにすみます。 大きな 「時間の節約 TIME SAVING」 です。 そこで、次のようになります。
Compression is <物体に力を加えること> <すべての方向から>
<形状及び大きさを変えるために>不定詞の出番 is の後に 「何何すること」 とくれば、すぐ不定詞を思い起こさなければなりません。 「to 加える 力を 物体に」 となります。 「加える」 は、他動詞 apply を使います。 そして、その目的語として 「力 force 」 です。 そして、 「どこに」 かというと 「物体 object」 ですから to apply force to an object となりますが、 これは、言い換えれば to press an object (物体を圧縮する) とイコールです。 同じことを言うのなら、より簡単の方がよいに決まっていますので、 これを使って、次のようにします。
Compression is < to press an object ><すべての方向から>
<形状及び大きさを変えるために>from と every 「すべての方向から」 は from all directions もあれば 、from every direction もあります。 どちらがよいでしょうか。 どちらでも結局の意味は同じですが。 視点が違うのです。 日本語で言うと 「全方向から」 と 「各方向から」の違いです。 いうなれば 「水は全家庭に供給される」 と 「各家庭に供給される」 の違いです。 「全」 は、全部をまとめて1と見るように視野に入れた考え方ですが、これに対して 「各」 は、むしろ、ひとつひとつの 「個」 を大事にした表現です。 従って、「各家庭」は 「家庭一軒一軒を大切にして水を供給する」 という意味合いとなります。
Water is supplied to all the households. (全体を1と見る)
Water is supplied to every household. (個を大事に見る)この意味から和文でいう 「すべての方向から」 は 「各方向から」 とした方がよいように思われますので from every direction としましょう。
Compression is < to press an object > < from every direction >
<形状及び大きさを変えるために>最後の 「形状及び大きさを変えるために」 は、その 「ために」 から“目的”と見ることができます。 これも、不定詞を使って 「to 変える 形状及び大きさを」 としたくなります。
change と alter 「変える」 からだれでも change を思いますが、 alter を使う方が、この定義文にはふさわしく思われます。 どちらも他動詞ですから、そのあとには、その目的語が必要です。 それが 「形状及び大きさ」 ですから shape and size となります。 ここまで次の図式ができます。
Compression is < to press an object > < from every direction >
< to alter shape and size >ここで、ひとつ賢くならなければなりません。 たしかに和文では 「形状及び大きさを変える」 と言っていますが、 英文では 「変える対象」はそうではなく 「物体そのもの」 なのです。
巧みな処理 つまり 、to alter an object なのですが、すでに an object は前文に使われておりますので、代名詞 it として、その重複を避けます。そして、問題の 「形状及び大きさ」は、 「形状及び大きさについて、 おいて、 関して」 というように処理するのです。 ということは、 shape and size は in で、つなぐということなのです。和文どうりなら press の目的語だった、これらの名詞が、今は一転して前置詞の目的語と成り下がったわけです。 これが英文表現での特徴です。
Compression is to press an object from every direction to alter it in shape and size. 不定詞について、もっと詳しく知りたい方、電話下さい。 応用自在の実力をつけて差し上げます。
apply と add add は、あるものに何かを 「付け加える」 という意味です。 また、 all か every か、 今後、英文を書くときは、常に気になることでしょう。
教授 中野幾雄
直通電話 : 090−8451−7119
朝日カルチャーセンター(東京)講師
著書 : 一般/職業/技術 20冊以上