
1969年に米国国防総省の高等研究計画局でコンピュータ相互のデータ通信を可能にした ARPAネットの実験成功に端を発したインターネットは、2001年になると世界的に普及しましたが、インターネット・オークションで注文した商品とは別の商品が届いた等のトラブルが多発しています。オークションの売り手と買い手とサーバーが多国間にまたがっている場合、どこの国の法律が適用されるべきか等、このような電子商取引にまつわるグレーゾーンは大きく、これから法整備がなされていくわけです。
また、ライブドアの時間外取引によるフジテレビ株の大量取得が話題になりましたが、これは東証が1998年に導入した立会い時間外に株式売買のできるオンラインシステムを使っただけのことであり、この2005年当時は、証券取引法上も合法であり問題はありませんでした。ただし、当時は、東証もフジテレビ側も、その他の金融専門家も東証のオンラインシステムを使った時間外取引で、これほど大量の株式取引がおこなわれることを想定していなかったため、「違法行為ではないのか?」とか「敵対的買収行為を規制すべきではないのか?」などと騒がれ、「グレーゾーンで起きた問題である」と広く認識されたのでした。
宇宙開発で人類が進出した月などの天体の土地や資源の領有権問題もグレーゾーンです。国連の加盟国間で取り交わした1967年の宇宙条約では、「どの国も月などの天体を含む宇宙空間の領有権を主張できない」と明記されていますが、企業や個人が天体についての権利を主張し、開発利用できるか否かに関しては何も示しておりません。
1979年の月協定においても「月の天然資源は人類の共有財産である」と明記されていますが、米国・ロシア・中国などが「月協定は、企業や個人による月やその他の天体における営利目的の開発利用を妨げる」として署名することを拒否しています。このように宇宙開発の現状そのものがグレーゾーンであるため、月協定を無視している米国の宇宙開発関連会社は「月の土地の権利証書」を販売しています。さらに、体外受精において、代理母が卵子を提供した場合など、妻以外の卵子によって産まれた子供は、従来の親子・養子関係を定めた法律に適合せず、その子供の法的地位はグレーゾーンにあります。このような体外受精にかかわらず、人間に対してクローン技術を応用することの是非など、生命倫理に関する問題は、グレーゾーンばかりであり、今後の裁判で判例を積み重ねて行く中で、「歴史が人類に正しい回答を与える」ことになるわけです。
このように、新しいこと・革新的なことは、すべてグレーゾーンであることを理解すべきなのですが、日本の県立大学という象牙の塔の中で何十年も暮らしている小島氏のような頭脳と経験と価値観からすれば、全く新しい革新的なことをしている個人や法人が自分の「敵」に見えているわけです。しかし、新しいことをしている個人や法人こそが歴史の推進者であり、時代の開拓者であることに早く気づくべきではないでしょうか。